「時間が止まってしまえばいいのに」とか 「明日なんか来なければいいのに」とか もうすぐ“オトナ”を名乗らなきゃいけない年になった今でも 性懲りもなく思ってしまう 親に叱られたときとか 試験間近で切羽詰まったときとか 言うつもりのないこと口走っちゃったときとか とにかく すんごいヘコんだときとか 私の気持ちの行き先はお決まりのように一直線だ いち人間でしかない私にはどうしようもならない次元の対象に 毎回 毎回 同じ愚痴をこぼす とき どき おまけも一緒にこぼす 自己嫌悪と八つ当たりを繰り返す やっぱり私 いつまでも“コドモ”だ 明かりを消して 布団に入って 目を閉じたら 枕元にある目覚まし時計の秒を刻む音が急にうるさく聞こえて 真っ暗で 気持ちも真っ暗で 目を開けても真っ暗で 「カシッ カシッ」と 一定間隔で刻み続ける針の音に まるで「時間は止まらないのよ」と言われている気がして それが妙にうっとおしくて ぽうっと夜光塗料で光る丸い時計板を睨みつけて でも 何も言い返せない沈黙に 「なんか私、子供の頃よりコドモだ」って わかってたはずのことに改めて気付いた それが我ながら確信をついていて それから改めて呆れて 呆れたら 何か堪えてた枷が抜けてしまった音がした 「今だ」と突撃のチャンスを伺っていた兵隊達が 一斉に攻撃を開始する 急に苦しくなって 急に痛くなって 急に悲しくなって いつの間にか出口ぎりぎりまで登り詰めていたものが 塞き止める余地もなく あふれた やっぱり私 いつまでも“コドモ”だ 父さんや母さんみたいな立派な大人にはきっとなれない でも子供の頃の無邪気さも忘れちゃってさ いつまでもロウニンやってる気がするよ ぶかぶかの“オトナ”を着た 不似合いな“コドモ”を見かけたら きっとそれは 私だからね
〔2006,08,09/散文詩〕