過去の自分に妬くようになったのは最近のことだ これが年を重ねた証拠とでも? 前だけを見て歩くなんてこと 今じゃ確かにできないけれど ただ突っ走ってただけなあの頃の自分の浅はかさには 溜息が出るくらい 呆れてもいる ただし 白状するならば 私はまだ拭い切れていないのだ 前だけを見て歩いていたあの頃の自分 怖いもの知らずで ひと思いに突っ走ってたあの頃の自分 羨んでしまう気持ちを 私はまだ拭い切れていない 五年前の今日という日を何度振り返ったことだろう 枯れるつもりはない 枯らすつもりも毛頭ないが “予感”という名のなんとも不確定的なものが 勇気への第一歩を断ち切らせる刃となる アンダードッグへと成り下がるべく 登ってきた坂を下る足取り それは決して軽やかではない 空気に揺らぐ水面を眺めて その向こうに霞む何かを見ようと 目を凝らす 滞る日々の中だからこそ それは芽生えたのだろうか 確証などありはしない むしろ自己擁護の気配さえ感じる ただ 今になって考えるのは あの頃のまま 揺蕩いながら行き着いた先でも 同じようにそれは芽生えたのだろうかということ 昔の夢ばかり見る自分を まるで地縛霊だとわらった 地縛霊のように 五年前の今日という日を もう一度得たいのだとばかり思っていた 空気に揺らぐ水面を眺めて その向こうに霞む何かを掴もうと 手を伸ばす 少しも進んでいる気のしない毎日を振り返えると 事実 軌跡はなく 足跡は同じ場所をひたすらに踏み固めていた 仰げば尊し空を 雲はひたすらに流されて 思い出にさえなりはしない一瞬を形作りながら 次の一瞬をまた流され 形作る 「一秒後であろうとも決して戻れはしないのだから ならば進むしかないでしょう」と そう 日常に思い知らされてる気がした 五年前の今日という日を振り返る必要がなくなるほどの 今を掴みたい だから私は 今日も 空に手を伸ばすのだ
〔2007,05,04/散文詩〕